振袖に描かれた古典文様。
文様それぞれに意味を持ち、人々の願いが託されています。
美しい自然や、豊かな四季に恵まれた日本人の美意識によって生み出され磨かれた文様の多くは、
人生の幸せを願った意味がある吉祥文様がほとんどです。
二十歳の旅立ちを華麗に彩る文様が、晴れの日にふさわしい装いを叶えます。
※吉祥とは、繁栄や長寿を表し縁起が良いことを意味します。

御所車

幸せがいっぱい

平安時代の貴族の乗り物を文様化したもので、「源氏車」とも呼ばれます。車のまわりにあふれんばかりの花が描かれたものは「花車」と呼ばれ、“幸せがあふれる”に通じます。古典的で典雅な文様として格の高さを表します。

松文

長く凛と生きること

松が千年の樹齢を誇り、葉が一年中緑色を保っている凛とした姿から、長寿の象徴として吉祥木の最高峰とされています。松の種類も意匠も様々で、格調高い文様として装う人の品格を感じさせてくれます。

梅文

力強く、子から子へ

厳寒の中、百花に先駆けて香り高く、清楚な花を咲かせることから、忍耐力、生命力の吉祥文様として愛されています。たくさんの滋養豊かな実をつけることから子孫繁栄の象徴ともされ、花だけでなく枝つきまで多彩な文様が使われています。

流水文

苦難を流し、清らかな人生

生命の源である一滴の水が大海に注ぐまでの様子を人生にたとえ、流れる水の様子を永遠の形として文様化したものです。流れる水は決してよどむことがないことから、振袖では裾や袖、背景に草花や風景を添えることが好まれています。

桜文

咲き誇る豊かな門出

日本の代表的な花として、長い冬を耐え抜いて一気に咲き誇る姿から幸先の良さをイメージさせます。さくらの「さ」は稲、「くら」は神が宿る座を意味し、豊かな実りと荘厳な幸福を感じさせる、人生の旅立ちにふさわしい吉祥文様です。

毬文

まるく、平和を祈って

手鞠は長い糸を巻き付けて作ることから「縁を結ぶ」という良縁の意味を持ちます。毬の形に躍動感ある人生と丸く収まる円満への願いが込められています。笛や太鼓などの楽器、草花と組み合わされ、穏やかで平和な日々を祈る文様です。

菊文

万能な幸せを願って

菊は長寿を象徴する代表的な花です。数々の伝説に彩られ、不老不死、無病息災、邪気払いなどの願いが込められ、花や葉をモチーフに多種多様にデザインされています。菊は秋の花とされていますが、季節を問わず装うことができます。

牡丹文

とても輝かしい未来を

美しく大輪の花を咲かせる牡丹は「百花の王」と呼ばれ、豊年満作の兆しとなる端花であることから、幸福、高貴、富貴と大変縁起が良いとされています。ダイナミックな花弁が振袖をよりファッショナブルに仕立て、人気の文様です。

貝桶文

幸せな出会いがあるように

貝桶は平安時代の遊びである貝合わせの貝を入れておく美しい器で、嫁入り道具のひとつでした。貝合わせは貝殻を合わせて遊ぶことから、夫婦和合、夫婦円満の意味があります。貝桶には雅な蒔絵が施され、優美さが振袖を華やかに彩ります。